妖怪電話男

妖怪電話男

5~6年ほど前に付き合っていた男性がかなり強者だった。今でいうところのモラハラに該当するのではないかと思えるほどのレベルである。外見はリアル地獄のミサワという感じで結構な丸顔の割に全パーツが中心によっている感じであった。彼に対して唯一尊敬できる点というば、自分の容姿に多大なる自身を持っており、1日1回は自撮り写真を送りつけてくるハートの強さだったが、それ以外は尊敬することもできず、好ましく思うこともできなかった。

通常、別れた相手のことをどうこういうことはタブーに値するが、彼に関しては「腹がたつので晒してやる」という気持ちよりも圧倒的に「新種の生物を発見したので皆で共有したい」という気持ちが強い。どんな事情であれ、付き合っていた相手のことを悪く言う人間には嫌悪感を感じる…という人には申し訳ないが、どうしても共有したいのでご容赦頂きたい。

私は昔から付き合った相手に意見を言うことができない。最初こそ「嫌われたらどうしよう」という割と乙女な気持ちからだったが、だんだんと「言わなきゃわからない人に1から説明するのが面倒くさい」「勝手に気づいて改善してほしい」という生来の面倒くささと傲慢さから「何も注意しない」「文句も言わない」「とりあえず笑ってごまかす」という方法をとってきた。周囲の友人からは「その面倒くさいという気持ちが後々余計面倒くささを生んでいる」と散々注意されているが、リアルタイムで注意することができない。その場でイラっとすることがあまりなく、3時間後くらいに戦闘モードのベジータ級に怒りくるうことが多い為現行犯で注意することが難しいのである。

ただ妖怪電話男に関しては、ほぼリアルタイムで怒りがわくことが多く、珍しく私が切れて破局となった珍しいサンプルケースである為お伝えしたいと考えた。

1.電話の頻度が以上に多く、1回の電話がとにかく長い。

これは冗談ではない。お互い休みの日などはこちらの都合関係なしに電話がなる。向こうの要件といえば「今から俺は部屋の模様替えをするのでなにか面白い話を適当にしゃべっておいてくれ」というものから「漫画one-pieceの彼なりの考察を延々と聞かされる」というものまでさまざまであった。特に模様替えに関してはこちらからの呼びかけに応答はないが、話すのをやめると「真面目にやれ!俺は模様替えをしている間暇なんだ!」とぶち切れていた。彼の住んでいた地域にはラジオもなく、音楽を流しながら黙々と作業をするという選択肢を思いつかなかったのかもしれない。

2.毎晩、母親の手作りの夕食の写真が送られてくる

これは地味に地獄であった。他人の食卓に関心がないので「おいしそう」以外、気の利いたコメントを返せなかったが、彼はこちらのコメントなど全く気にしていなかった。「今日の俺の飯」という一言と共に送られてくる写真を前にどうすればいいかおろおろしていた。ある日など「おかんがミッキーマウスの食器に盛り付けたから喧嘩になった。ダサい食器を使う神経がわからん」というコメントが添えられていた為、いつも以上になんと返せば良いかわからず「私はミッキーかわいいと思う」と返信したが、「ほんまこのミッキーの食器腹立つ」というコメントが返ってきた。奴は鋼のハートを持っている、そう実感した。

3.無意味な電話がとにかく多い

私と妖怪電話男は同じ関西県内に住んでいたが地味に遠く、電車で片道1時間半程度かかる距離に住んでいた。呼び出されることは多いが、相手が私の地元に来たことはなかった。休みの日も面倒くさくて相手の地元に行くことも少なかったが「今日ランニングをしたらランニングシューズの滑り止めに小石がたくさんはさまった」という謎の報告の電話や、「買う予定はないけど新車の試乗に行ってきた」というような中身0の報告の電話が頻繁にかかってきた。この時点でだいぶイライラしていたので「私も休日はやりたいことがあるので、大事な用事のある時しか電話をかけてくるな」ととうとう伝えてみた。「お前がそれでいいなら俺はいいけど?」とイケメンにしか許されないような言葉を吐いてその電話は終わった。私はたまっていた録画の映画や、漫画を読もうと喜々としてリラックススペースの構築を行っていたがその時電話がなった。

着信:妖怪電話男

怒る<面倒くさいというだけで特に気が長くなかった私はこの時、ぶちキレた。「何の用か?」と聞くと、「やっぱりさっきのはお前が悪いと思う」と半笑いで返答された。このとき心情としては、ブルマが他人にビンタをされた時のベジータくらいキレていたので「それがお前の要件か?私は用事があるときしかかけてくるなといったのは覚えているか?」と聞くと、激高した妖怪電話男はいかにお前が自分勝手で、人の気持ちを考えていないかということを早口でまくし立てていた。「そうか、要件は終わったかい?」と聞き一方的に電話を切ったが、その後も着信が止まらなかったが無視した。

12月初旬

付き合って3か月ころ経過していたが、私は奴とクリスマスを過ごすのが大変苦痛に感じていた。面倒くさいことになるのは目に見えていたので、クリスマスの1週間ほど前に「別れたい」と告げると「俺はいいけどお前は後悔しないのか?」と返答があり、彼のように自由に生きれたら…と思いちょっと笑ってしまった。「え、しないよ」と答えたところ「お前は自分勝手だ。俺のクリスマスはどうなるんだ!」と怒られた。 
「それは知らん」と答えたところ、また激高して何か言っていたがもう何を言われたのかも覚えていない。もう何年も前の話なので、今はもちろん連絡先もわからないし、会うこともないだろう。

あれから数年がたった。彼は今日もどこかで電話を鳴らし、小石がはさまった報告をし、毎晩の夕食の写真を送りつけているのだろうか。私もかなり自分勝手に生きているのだが、それでも「彼のように生きれたら…」と遠くを見つめることも少なくない。尊敬できる点は限りなく少ないが、自分の欲求を最優先に行動する、嫌われることを恐れないという点に関しては彼の右にでる者はいないのではないか…と未だに感じている。

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